オンライン広告

オンライン広告の種類と利用時の注意点

最終更新日:2024年2月17日 執筆:SEOコンサルタント 鈴木将司

オンライン広告はトリプルメディアの一角を占める「ペイドメディア」のことで、企業の集客効果を高めるために広く使われている手段です。

ペイドメディアは広告費を払っている間にのみターゲットユーザーに露出ができる媒体であるため費用対効果を高めるためには幅広い知識と経験が求められます。

《トリプルメディア》

1. オンライン広告とは?

「オンライン広告」とは、インターネット上で配信される広告のことを意味します。検索エンジンやウェブサイト、SNS、動画プラットフォームなど、様々な媒体でユーザーに広告が表示され、情報を提供します。オンライン広告は、企業がブランド認知度を高めたり、製品やサービスを販売するために効果的な手段です。

2. オンライン広告の種類

オンライン広告には様々な種類があり、代表的なものとして次の6種類があります。

① リスティング広告
② SNS広告
③ 動画広告
④ アドネットワーク広告
⑤ リターゲティング広告
⑥ アフィリエイト広告

① リスティング広告

リスティング広告は検索連動型広告とも言われ、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに関連する内容の広告を検索結果画面に表示する広告のことです。

通常、検索結果画面の一番上と一番下に表示されますが、最も目立つ部分である一番上に表示されるためユーザーの目に触れる機会が最も多いため大きな集客効果が望める広告です。

《モバイル版Googleでの検索結果画面》

ウェブ上の広告にはバナー広告やテキスト広告等様々な広告がありますが、検索ユーザーは自分が探している情報を見つけるために検索エンジンを使うので、検索したキーワードとの関連性が高いこの種の広告は検索ユーザーに見られる確率が高いという特徴があります。そのためリスティング広告は集客効果が非常に高いと言われ広告主に非常に人気があります。

(1)リスティング広告の利用方法

国内のリスティング広告の大手はGoogle検索で表示されるGoogle広告、Yahoo!検索で表示されるYahoo!広告、そしてMicrosoft Bingで表示されるMicrosoft広告があります。

Google Yahoo!JAPAN Microsoft Bing DuckDuckGo
PC版 71.50% 11.02% 16.65% 0.36%
モバイル版 80.06% 18.91% 0.37% 0.27%

※ 出典:StatCounter

国内の検索エンジン市場ではGoogleとYahoo!JAPANを合わせるとPC版もモバイル版も8割以上のシェアがあるためリスティング広告の国内市場はGoogle広告とYahoo!広告の二強が寡占的な地位を占めています。

出稿の手続きは、Google広告とYahoo!広告ともにオンラインで出来ます。ユーザー登録が完了したら広告の見出し、リンク先ページのURL、説明文を設定し、どんなキーワードで上位表示をしたいのかを指定します。そしてクレジットカード等で広告費を支払えばすぐに広告表示の申込みが出来ます。料金は最低1,000円を支払えば広告の表示が可能です。内容に問題がなければ直ちに表示を開始出来ます。

リスティング広告の広告費はユーザーが広告のリンクをクリックした時点で課金されます。このことをクリック保証と呼びます。1クリックあたりの広告費用は競争入札制です。広告主が個々のキーワードに対して、このキーワードにはいくらを払うというように希望入札額を管理画面上で入力します。

検索結果の広告欄に表示される順位は主に次の4つの要因で決定されます。

《1》希望入札額が他社よりも高いか?
《2》広告の品質が高いか?
《3》広告のリンク先ページの品質が高いか?
《4》ユーザーが探している内容の広告であるか?

競合他社の入札額よりも少しでも高く設定し、法的、倫理的に問題がなく、ユーザーがクリックしたくなるような魅力的な広告文を書くこと、その広告文と調和したウェブページを作ること、そして地理的、時期的、内容的に特定のキーワードを検索したユーザーが探している内容の広告であることが広告欄での表示順位を決めます。

ここまで厳密に検索ユーザーに適切な広告を表示させようという努力を積み重ねることによりリスティング広告は、検索ユーザーが求めていない内容の広告ではなく、検索ユーザーが検索するニーズを満たす広告表示システムになりました。

広告主は、広告の表示がされている最中でも、広告の管理画面で反応を見ながら自由に、希望入札額の変更や、広告文の変更ができます。また表示期間の延長や取りやめも自由に行うことが出来ます。

(2)リスティング広告を利用する際の注意点

少額から始められ、すぐに表示を開始できるリスティング広告は非常に便利な集客手段です。

しかし、広告だけで集客をするという考えは危険です。何故なら広告の表示順位が低いと実際には検索ユーザーの目には止まらないからです。表示順位を高くするには広告の品質を高めるだけではなく、希望入札価格の動向を絶えず監視して、入札金額を少しでも高くしていかねばなりません。同じことを競合他社もしているため入札金額は年々上昇しています。

油断をすると広告料金の支払いが増えてしまい、商品を売っても赤字になってしまいます。

また、ユーザーにクリックしてもらえる魅力的な広告文を書くために絶えず競合他社の広告を参考にしながらライティングのスキルを高める必要もあります。

さらには、表示順位が高くなり自社サイトへの訪問者数が増えたとしても、リンク先のウェブページの品質が低い場合や、商品そのものに魅力が無ければ売上は増えません。常日頃からウェブページの品質を高くすることと、商品の魅力を高める努力が求められます。

② SNS広告

SNS広告とは、X、Instagram、Facebook、LINE、PinterestなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のユーザーに配信する広告のことです。 SNS広告はユーザーがSNSに登録したときの個人情報や、その後の行動履歴を基にした細やかなターゲティング設定ができる広告です。

SNS広告にはさまざまな広告形式があります。通常のテキストを主体とした広告の他に、画像広告、動画広告、カルーセル広告(複数の画像や動画をスワイプして閲覧できる広告)、ストーリーズ広告など、目的やターゲット層に合わせて選択できます。

「カルーセル」とは英語で、回転木馬を指す言葉です。画像などの複数の項目をスライドさせることで、メインで表示する項目を切り替えることができる仕組みのことです。 画像をスライドさせる動きが回転木馬のように回転する動作から、カルーセルと呼ばれています。

《カルーセル広告の例》

また、SNS広告は、ユーザーが「いいね」やコメント、シェアなどのアクションを取ることができるため、ユーザーとの交流が可能です。これにより、企業とユーザーのエンゲージメントを高めて関係性を構築することが可能です。

主なSNS広告プラットフォームには、Facebook広告、Instagram広告、X広告、Pinterest広告などがあります。各プラットフォームは、それぞれ独自の広告管理ツールを提供しており、ターゲティングや広告効果の測定ができます。

(1)SNS広告の利用方法

SNS広告の利用方法は、プラットフォームによって異なりますが、一般的に次のような手順で実施します。

《1》 広告目的の設定
まず、広告活動の目的を設定します。例えば、ブランド認知度向上、製品の販売促進、ウェブサイトへの誘導などです。

《2》 ターゲット層の設定
広告を配信するターゲット層を設定します。年齢、性別、地域、興味・関心、行動履歴など、さまざまな条件を組み合わせてターゲットを絞り込みます。

《3》 広告プラットフォームの選定
企業の目的やターゲット層に応じて、最も適したSNSプラットフォームを選びます。例えば、LINE、Facebook、Instagram、X、Pinterestなどがあります。

《4》 広告アカウントの作成
SNSプラットフォームごとに広告アカウントを作成し、広告主として登録します。FacebookやInstagramの場合は、Facebook Business Managerを使用してアカウントを作成しましょう。

《5》 広告フォーマットの選定
SNSプラットフォームごとに複数の広告フォーマットが用意されています。例えば、画像広告、動画広告、カルーセル広告、ストーリーズ広告など。目的に応じて適切なフォーマットを選びましょう。

《6》 広告クリエイティブの制作
高品質な広告クリエイティブを制作し、ユーザーの興味や関心を引きます。広告クリエイティブとは、 広告掲載するために制作された素材全般を指します。具体的にはキャッチコピー、テキスト、画像、動画のことで、広告クリエイティブ品質はオンライン広告運用の成果に直結する、重要な要素です。
ユーザーの注目を引く見出しや魅力的な画像・動画、適切なコピーを使用して効果的な広告を作成しましょう。

《7》 広告予算と入札設定
広告予算を決定し、入札方法や最適化の方法を設定します。予算配分や入札戦略を適切に管理することで、広告効果を最大化できます。支払いは通常クレジットカードを使用するか、予め預け金を振り込みます。

《8》 広告配信開始
すべての設定が完了したら、広告配信を開始します。定期的に広告パフォーマンスをチェックし、最適化をして広告の効果を高めます。

(2)SNS広告を利用する際の注意点

SNS広告を利用する際には特に次のような点に注意しましょう。

《1》 ターゲット層の理解
広告のターゲットとなるユーザー層を理解し、彼らに共感や興味を持ってもらえる広告コンテンツを作成しましょう。ターゲット層に合わないコンテンツは、広告効果が低くなる可能性があります。ペルソナを設定するなどしてターゲットユーザーの人物像を明確にしましょう。

《2》 適切なプラットフォーム選定
企業の目的やターゲット層によって、最適なSNSプラットフォームが異なります。プラットフォームごとの特性を理解し、効果的な広告配信ができるプラットフォームを選びましょう。

《3》 様々な広告フォーマットの検討
SNSプラットフォームごとに様々な広告フォーマットが存在します。目的やコンテンツに応じて適切な広告フォーマットを活用し、効果的な広告を作成しましょう。

《4》 長期的な戦略
SNS広告は、短期的な集客だけでなく、長期的なブランド認知やフォロワー獲得にも効果があります。効果的な広告戦略を継続的に実施し、企業のウェブ上での存在感を向上させましょう。

③ 動画広告

動画広告とは、動画を活用した広告のことで主にYouTube等の動画共有サイト上でユーザーが動画を再生した時に配信される広告のことです。動画広告は、TVのようにユーザーに視覚、聴覚、動きを通じて情報を伝えることができるため、ユーザーの注意を引き付けやすく、情報伝達に効果的です。インターネットの普及とともに、動画広告はオンライン広告の主要な手法となり、多くの企業がマーケティング戦略に取り入れています。

(1)動画広告の利用方法

動画広告の利用手順の多くはSNSの利用手順とほとんど同じですが、動画広告ならではのものとしては次のものがあります。

《1》動画コンテンツの制作
ターゲットユーザーが関心を持ちやすいストーリーやメッセージを盛り込んだ動画を制作します。また、動画の冒頭で視聴者の注意を引く工夫や、適切な長さに抑えることも重要です。

《2》広告プラットフォームの選定
動画広告を配信するプラットフォームを選びます。YouTube、Facebook、Instagram、TikTokなど、さまざまなプラットフォームがありますので、ターゲットオーディエンスがよく利用するものを選びましょう。
広告における「オーディエンス」とは、広告の対象となる特定のユーザーグループのことを指します。「ターゲットオーディエンス」とは、ある製品やサービスに関心があると予想されるユーザーをまとめた集団で、広告主が広告の効果を最大化するために設定するものです。

《3》広告フォーマットの選択
各プラットフォームには異なる動画広告フォーマットがあります。例えば、YouTubeには次のようなフォーマットの広告があります。

● スキップ可能なインストリーム広告
YouTube および Google 動画パートナー上のウェブサイトやアプリで配信される動画の再生前後または再生中に動画コンテンツを表示するときに使用します。再生開始から 5 秒が経過すると、ユーザーは広告をスキップできるようになります。

● インフィード動画広告
インフィード動画広告は、ユーザーが動画コンテンツを見つける場所(YouTube の関連動画の横、YouTube 検索結果、YouTube モバイルのトップページなど)で動画をアピールするために使用します。

動画のサムネイル画像とテキストで構成されます。この広告のサイズと見え方は表示先によって変わりますが、インフィード動画広告はユーザーがクリックすることで動画が再生される仕組みです。広告がクリックされると、YouTube の動画再生ページかチャンネル ホームページで動画が再生されます。

● バンパー広告
バンパー広告は、短くて覚えやすいメッセージで幅広い視聴者にリーチするときに使用します。動画の再生前、再生中、または再生後に 6 秒以内で再生されます。この広告をスキップすることはできません。

目的や予算に応じて適切なフォーマットを選びましょう。

(2)動画広告を利用する際の注意点

動画広告を利用する際の注意点も、SNSとほとんど同じですが、動画広告ならではのものとしては、動画の品質や編集、音楽、構成がプロフェッショナルで魅力的であることが、視聴者の注意を引きつけるために重要です。

また、動画の冒頭で視聴者の興味を引く要素を盛り込み、適切な長さに抑えることも大切です。
これらのポイントを押さえることで、企業は動画広告を効果的に活用し、集客やブランド認知度の向上につなげることが可能になります。

④ アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、広告を出稿できる多数のWebサイトやアプリ、SNSを集めた広告配信ネットワークに同時に出稿できるオンライン広告です。日本国内で利用されているアドネットワークの代表的なものとしては、Googleが提供するGoogleディスプレイネットワークがあります。

アドネットワーク広告は、ターゲットユーザーがカスタマージャーニーの初期の段階である(1)課題認識 から (2)興味 の段階で使われることが多いため、カスタマージャーニーの中期の段階である(2)興味から(3)比較検討の段階で使われるリスティング広告と比べると、より広い潜在顧客層にアプローチすることができる広告形態です。

《カスタマージャーニーマップにおけるアドネットワーク広告とリスティング広告利用のタイミング》

しかし、より広い潜在顧客層にアプローチするということはたくさんの人々に広告を表示するための広告費用がかかるという面もあるので予算の管理には注意しなくてはなりません。

(1)アドネットワーク広告の利用方法

アドネットワーク広告を使う際の流れは以下のようになります。

《1》アドネットワークの選択
まず、自社の目的や予算に合ったアドネットワークを選択します。日本国内で利用可能なアドネットワークには、Googleのディスプレイ広告、Yahoo!広告のディスプレイ広告などがあります。

《2》広告アカウントの作成
選択したアドネットワークにアカウントを作成し、企業情報や支払い情報などを入力します。

《3》キャンペーン設定
キャンペーンを作成し、目的や予算を設定します。広告配信にかかる費用は、入札制度によって決まるため、適切な入札額と予算を決めます。

《4》広告クリエイティブの作成
アドネットワークの仕様に沿った広告クリエイティブ(デザインやサイズ、フォーマット)を作成します。

《5》ターゲティング設定
広告配信の対象となるオーディエンスを設定します。性別、年齢、地域、興味・関心などの属性に基づいてターゲティングが可能です。

《6》広告配信の開始
すべての設定が完了したら、広告配信を開始します。

(2)アドネットワーク広告を利用する際の注意点

《1》広告パフォーマンスのモニタリング
運用中は、広告のパフォーマンスを定期的に監視し、必要に応じて改善や最適化を行います。これを怠ると無駄な広告の露出が生じるため広告の費用対効果が低下してしまいます。

《2》効果測定と分析
広告の効果を測定し、そのデータをもとに分析を行います。効果測定には、クリック数やコンバージョン数、コンバージョン率などの指標があります。

《3》最適化と改善
分析結果をもとに、広告のターゲティングや入札額、クリエイティブなどを最適化し、さらなる広告効果の向上を目指します。

これらの点に注意しながらアドネットワーク広告を運用することで、企業は効率的にターゲットユーザーにアプローチすることが可能です。

⑤ リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、1回以上サイトに訪れたことのあるユーザーを追跡して広告を配信することができる広告手法のことです。例えば、ある通販サイトを1回見た後にそのサイトの広告を別のサイトを訪問した時に目にするというものです。

(1)リターゲティング広告の利用方法

リターゲティング広告の利用方法は以下のステップで進められます。

《1》広告プラットフォームの選択
Google広告やFacebook広告などの広告プラットフォームを選び、アカウントを作成します。

《2》リターゲティング用のタグやピクセルの設定
選択した広告プラットフォームからリターゲティング用のタグやピクセルコード(JavaScriptのコード)を取得し、ウェブサイトやランディングページに設置します。これにより、訪問者の行動を追跡できるようになります。

《3》オーディエンスの定義
広告プラットフォーム上でリターゲティング広告の対象となるオーディエンスを定義します。例えば、特定のページを訪れたユーザーやカートに商品を追加したが購入しなかったユーザーなどを対象に設定できます。

《4》広告クリエイティブの作成
リターゲティング広告で表示する広告クリエイティブ(画像や動画、テキストなど)を作成し、広告プラットフォームにアップロードします。

《5》広告キャンペーンの設定
広告プラットフォーム上でキャンペーンを作成し、リターゲティング広告の配信条件(予算、期間、地域など)を設定します。

《6》広告の配信開始
すべての設定が完了したら、広告キャンペーンを開始します。対象オーディエンスに対してリターゲティング広告が表示されるようになります。

(2)リターゲティング広告を利用する際の注意点

リターゲティング広告を利用する際には、いくつかの注意点があります。

《1》過剰な広告表示を避ける
ユーザーに対して広告が過剰に表示されると、広告疲れやイライラを引き起こし、ブランドのイメージを悪化させる可能性があります。表示回数の上限を設定することで、過剰な広告表示を防ぎましょう。

《2》広告のターゲティングを適切に設定
ユーザーの行動や興味に基づいてオーディエンスをグループ分けして、それぞれに合った広告クリエイティブやメッセージを用意して、パーソナライズされた広告を表示させましょう。

《3》コンバージョン済みユーザーの除外
すでに商品を購入したり、サービスに登録したりしたユーザーに対しては、同じ広告を表示しないように設定しましょう。これにより、広告予算をより効果的に使うことができます。

《4》広告のクリエイティブを工夫する
同じ広告が繰り返し表示されると、ユーザーの関心を失う可能性があります。広告のデザインやメッセージをバリエーション豊かにし、ユーザーの関心を維持しましょう。

《5》プライバシーと法規制への配慮
ユーザーの個人情報やプライバシーに配慮し、法規制に従ったリターゲティング広告の運用を行いましょう。ユーザーに対して適切な情報開示やオプトアウトの選択肢を提供することが重要です。

オプトアウト(Opt-out)とは、インターネット上のサービスやマーケティング活動、広告などにおいて、ユーザーが自分の意志で参加を辞退することを指します。オプトアウト制度は、ユーザーのプライバシーや個人情報保護に関連する権利を尊重するために設けられています。

⑥ アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、ユーザーが広告をクリックし、広告主のサイトで商品購入、会員登録などの成果が発生した際、その成果に対して報酬を支払う成果報酬型の広告です。

アフィリエイト広告を掲載できるメディアには、大手マスメディアのサイトや、比較サイト、個人のアフィリエイターのブログ、そしてInstagram、X等のSNSなどがあります。

アフィリエイト広告はリスティング広告とは違い、単にユーザーが広告をクリックだけで料金が発生するものではなく、商品購入、会員登録などの成果が発生した場合にだけ料金が発生するため企業にとって費用対効果が高い広告です。

(1)アフィリエイト広告の利用方法

アフィリエイト広告を利用するには2つの課題があります。1つはアフィリエイト広告を掲載してくれるウェブサイトやブログ等の掲載メディアを見つけることです。こうしたアフィリエイト広告を掲載するメディアはアフィリエイターと呼ばれています。

大きな集客効果をあげるには一人のアフィリエイターにアフィリエイト広告を掲載してもらうだけでは不十分です。なるべくたくさんのアフィリエイターに掲載してもらう必要があります。

しかし、アフィリエイト広告を掲載してくれるアフィリエイターを見つけるには多くの時間がかかります。また訪問者数が多いサイトやブログを運営するアフィリエイターを探すことは簡単なことではありません。
この課題を解決するために、アフィリエイト広告を利用しようとするほとんどの企業はASPを利用します。

ASPとは、アフィリエイトサービスプロバイダー(Affiliate Service Provider)の略で、広告主とアフィリエイターを仲介する企業のことです。国内の代表的なASPにはA8.net、バリューコマース、リンクシェア、アクセストレードなどがあります。

これらASP各社は日頃からアフィリエイターを募集しており、副業で収入を得ようとする個人アフィリエイターや、事業として広告事業をしたいと願う企業アフィリエイターを募集しています。アフィリエイターの登録は無料で、一定の審査に合格すればアフィリエイターとして登録されます。

登録されたアフィリエイターにはたくさんの掲載案件がASPから紹介され、アフィリエイターは好みの広告を選びます。広告主がアフィリエイターのサイトやブログをチェックして内容的に問題が無ければオンライン上で契約が結ばれすぐに広告を掲載することが許されます。

企業がアフィリエイト広告を利用するための2つ目の課題は、広告をクリックしたユーザーがリンク先の広告主のサイトを訪問して商品購入や会員登録をした事実を記録するシステムを確保することです。

このシステムがしっかりしたものでないと、アフィリエイターがせっかく広告を掲載しても、サイト訪問者が実際に商品を購入したのか、会員登録をしたのかがわからなくなり広告収入を得ることが出来なくなります。

ASPはこの課題を解決するために、広告をクリックしたユーザーが広告主の望むアクションをとったかどうかを記録して、それをアフィリエイターと共有するシステムを提供しています。このシステムの開発や維持にはたくさんのコストがかかるためほとんどの広告主がASPを利用するようになりました。

ASPに登録しているアフィリエイターもASPのこの広告成果を記録するシステムを信用することができるからこそ積極的に広告主の広告をウェブページに掲載することが可能になり、多くのアフィリエイターがASPに登録するという流れが生まれ定着するようになりました。

《アフィリエイトの仕組み》

(2)アフィリエイト広告を利用する際の注意点

《1》成果報酬の他に毎月のシステム利用料が発生する
成果に応じてアフィリエイト広告費をASPに払うので、費用対効果が高く見えますが、広告主はASPに毎月システム利用料金として50,000円前後の料金を払う必要があります。また、契約時にはプランによっては初期設定費用がかかります。そのため広告の成果が出なくても広告主は固定費をASPに継続的に支払う必要があるので、アフィリエイト広告を利用した得られた利益がそれらの固定費を下回ると赤字になります。

《2》自社の商材に適したASPを選ぶ
ASPにはA8.net、バリューコマース、リンクシェア、アクセストレードなどの様々な商材と関連性が高いサイトを運営するアフィリエイターを抱えているところから、金融や仮想通貨に強いところ、美容や女性向け商材に強いところなどがありますので、自社の商材に合わせてASPを選定することが得策です。

《3》アフィリエイターのコンテンツ品質に目を光らせる
アフィリエイターの目的は自分のサイトから広告主のサイトに見込み客を送り込んで、広告主のサイトで申し込みという行動を取ってもらうことです。そのため、一部のアフィリエイターは広告主の商材を推奨する際に、広告主にとって好ましくない表現をして成約率を高めようとすることがあります。

例えば、法律的に認められていない化粧品の効果効能を謳うことや、誰もが儲かるわけがないのにも関わらず「必ず儲かる」というような効果を保証するような表現をすることがあります。

商品購入後のトラブルを防止するため、そして監督官庁からの処罰を避けるために広告主は定期的にアフィリエイターのサイトを訪問し、適切な表現が使われているか、商品の説明が正確かどうか、最新のものになっているかなどをチェックする必要があります。
そして少しでも問題が見つかったらASPを通して問題のあるアフィリエイターに内容の改善を促す必要があります。

3. オンライン広告を出稿する際の重要ポイント

オンライン広告を利用する際には、これまで解説してきたポイントの他に次のような重要ポイントがあります。

① 効果的な広告コピーの作成

オンライン広告を出す上で最も重要だと言ってもよいのが、効果的な広告コピーを書くことです。「広告コピー」とは、商品やサービスを宣伝する目的で書かれた文章のことを言います。
広告コピーがターゲットユーザーに訴求するものでなければユーザーは広告を見てくれなくなり広告費だけが増大し売上が増えないという最悪の結果を招くことになります。

② 広告専用ページの作成

GoogleやYahoo!JAPAN等の検索エンジンの広告枠に表示するための専用のページを広告専用ページ、広告用LP、またはLP(エルピー)と呼びます。LPとは、「ランディングページ」の略で、ユーザーが検索エンジンやウェブサイトにあるリンクをクリックして最初に訪問するページのことを言います。
完璧な広告コピーを考えたとしても、リンク先のページの内容がターゲットユーザーにとって魅力的でなければ売上は増えません。

また、リスティング広告においては特に、広告コピーの内容とリンク先のLPの内容に関連性が乏しいと表示順位が上がらないという悪影響もありますのでLPの品質向上はオンライン広告の成否を決めると言っても過言ではありません。

《広告専用ページの例》

③ A/Bテスト

最初から完璧なLPを作ることは非常に難しいのが現実です。
複数の仮説を立てて、それぞれの仮説に基づいて最適なLPを準備して、それぞれを広告のリンク先ページとして一定期間設定してどちらがより効果的かを検証しましょう。こうした運用試験のことをA/Bテストと呼びます。

④ 効果測定と改善

完璧な広告コピーとLPを作るまでには途中で効果を測定して、データに基づいて仮説を立てて、改善を繰り返す必要があります。

以上が、オンライン広告の種類と利用時の注意点です。オンライン広告を活用することで、企業は売上向上が期待できます。自社の現状に最適なものを選び活用しましょう。

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